微生物
健康
現代の子どもたちは、ゲームやコンピュータ画面に向かう時間が増えることで屋外で過ごす時間が減り、多様な微生物が存在する環境とのつながりが薄れています。 また、コロナ禍で常に手を殺菌消毒するようになっています。そうなると、免疫力が弱まるだけでなく、微生物との接触がもたらす人間の健康面、精神面への恩恵を受けることもなかなかできない状況です。
子どもたちが手を泥だらけにして、生物多様性や身近な微生物について学び、私たち人間の味方である微生物が住みやすい住宅空間をつくるにはどうしたらいいのか。
多様な生物が生息する環境とのつながりを回復するには、微生物を家に取り込むという方法があります。 一番簡単なのは窓を開けることです。しかし都会では、アレルギーの問題や、厳しい暑さや寒さ、大気汚染や騒音の影響で窓を開けることも難しくなっています。 そんな場合には、自然を家に取り入れ、それが繁栄するために必要な条件を整えることが大切になってきます。多様な植物とその根、バクテリア、菌類、そして土壌の間につながりを形成することで、土壌に生息するバクテリアや菌類も増殖します。
健康的な生活は農業にある、とよく言われています。四季折々に作物を収穫するために、頭と体を使って自然相手に作業をしています。それ以外にも、土に触れていることがありそうです。感触もそうですが、微生物との接触が多いのも事実です。都会では、なかなかそのような環境はないので、ガーデニングや室内で観葉植物を育てることが増えてきているのかもしれません。
微生物は体の中に閉じ込められたものではなく、生活空間の一部だと捉えている考え方があります。微生物は食物から体内に取り込まれますが、友人やペットと触れ合うことでも微生物のやり取りは生じます。体の健康は生活空間に生息する微生物の影響を受けるのです。例えば、室内の温度や湿度を快適に保つ家が今あるように、将来的には室内の微生物の環境を整えることができるような建物がデザインされる時代が来るかもしれません。壁に取り付けられる家庭用の「微生物解析装置」のようなものが登場して、部屋を快適な温度や湿度に保つだけではなく、微生物の質や量をも調節して、健康的に過ごせる室内環境をつくり出せるようになるかもしれませんね。
引用:Panasonic Design「SECOND NATURE」、WIRED「Innovative City Forum」