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植物が家を安全にする

日常

今回は、植物が家に果たす役割をお話します。ひとつは、グリーンがあると癒やされる、気分がいいなどの情緒的な感覚を与えてくれること。もうひとつは、家で安全に暮らすために人を守ってくれること。わたしたちは、家に育てられ大きく成長していきます。だからこそ、家は安全で快適な場所でなければならない、そんな気がしています。

植物が家を安全に?どういうこと?? そう思われる人も多いかと思います。わたしは、以前は注文住宅建築に携わっていたので、このような発想が生まれたんだと思っています。家は、柱、梁、階段、床などがさまざまな材料が複合的に収まって、平らな場所、出隅、入隅、段差、出っ張りなどがあちらこちらに存在しています。人は家で毎日を過ごしていると、無意識に行動することが多々あります。そんな不注意になりがちな場所にあえて植物を配置して意識を持っていき注意喚起をしたり、他人の目線をあまり気にしなくていい、ほどよい目隠しにしたりと、家に住まう人を安全に快適に過ごせるようにしてくれるのです。

 

 

この写真は、窓の向かい側にはマンションが建っており、窓の高さが一緒で目線が交じりやすい環境にあります。カーテンを閉めれば解決するかもしれませんが、レースでさえ抜け感はなくなりますよね。でも、明るく開放的な感じは失いたくない、そんな時に植物を利用することをオススメします!背は高めで幅があり広がっているものだとスペースを消せます。あとは葉を間引いてあげて、涼しげに抜け感をだしてあげればOKです‼ もちろん、この環境下に適合した樹種でなければNGですよ。(笑)

 

この写真は、隣地が駐車場で人の行き来があります。施主様はブラインドなどを検討していたようですが、植物による目隠しをご提案して「それが、いい‼」ということになりました。この場合は窓のサッシ枠に置いているので、四季を通して耐暑性・耐寒性のあるもの、そして目隠しとなる特性がある樹種を選定することです。目隠しは全く見えないようにすることではなく、よく目を凝らさないと様子を伺えない程度が、明るさや抜け感を得られる目安になりますので、お試しあれれ!

 

吊り階段やシューズボックスを浮かすことで、抜け感ができてより広く感じます。ここでは、踏み板の角が気になりますよね。そこに植物を配置することで、靴を脱いで上がろうとした時に頭部をぶつけないように衝突防止の意味と、玄関入ってすぐに緑が目につくことは気分がいいですよね!最近は、空間を広く見せるデザインがいろいろあって、とてもいいことですね。浮かしたり透かしたりすることが多くなれば、それだけ気をつける箇所が多くなり、意識が必要になるということです。この点は、みなさんあまり気にしてないような気がします。

 

この写真は、廊下から洗面室に入るところで5cm程度の段差があります。リノベーションは収まりの関係で、床にどうしても段差が出たり、フラットにすることで天井高が低くなることがあります。15cm程度の段差なら人は注意して気づきます。でもわずかな段差は不注意になり、ぶつける可能性が高まります。そんな時に、段差の近くに植物を置くと植物に意識がいき、同時に段差に意識を持っていきやすくしてくれます。施主様もわたしの話しを聞くまでは、その場所にある必要性が分からないと言ってました。でも、話しをすると「なるほど、そういうことね~」と納得されていました。これも施主様との何気ない会話の中から、施主様の言葉を拾ってご提案した結果です。

わたしたちは、植物そのものだけを提供するのではなく、デザイン性、植物の特性、人への効果性、安全性などを紐付けて住まいの空間に落とし込み、植物を通して快適で安全に暮らすことができるようにすることが、植物空間デザインの本質だと捉えています。